サトウ アツシ
  佐藤 淳
   所属   応用生物学部 応用生物学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2017/12
形態種別 学術論文
標題 ヒトラクトフェリンN-lobeの構造と機能解析
執筆形態 共著
掲載誌名 ラクトフェリン2017
掲載区分国内
出版社・発行元 アイ・ケイ・コーポレーション
巻・号・頁 37-42頁
著者・共著者 志賀 晃、片岡 尚希、松崎 拓実、志賀 有貴、筒井 夏生、中島 正博、中村 真男、佐藤 淳
概要 ラクトフェリン(LF)のN末端側ドメインであるN-lobeは,受容体や糖鎖との結合部位を持ち,抗菌作用を有すること等が報告されてきているが,生物活性に関する報告例は少ない。そこで,本研究では,Aspergillus由来ヒトLF(rhLF)を比較対象とし,ヒトLF由来N-lobe(N-lobe)の物性と生物活性を評価した。
 N-lobeは,Caco-2細胞を用いたin vitro腸管吸収モデルにおいて,rhLFと同様に完全な分子で細胞内に取り込まれ,完全な分子で細胞外に放出された。熱に対する構造安定性評価において,N-lobeはrhLFと比較してその安定性は低下していた。LFのシグナル伝達経路として報告されているERKシグナルでは,N-lobeにおいてrhLFと比較して持続したERKのリン酸化が見られた。加えて,N-lobeはヒト低分化型肺腺癌細胞株PC-14に対して,細胞増殖抑制活性を示し,その活性はrhLFと比較して増強していた。
以上の結果から,N-lobeは評価したLFの生物活性を誘起する機能ドメインであることが示された。また,N-lobeは生体において腸管吸収で分解しない可能性が考えられ,N-lobe単体でもその生物活性を発揮できることが示唆された。