タナベ ダイスケ
  田辺 大介
   所属   医療保健学部 看護学科
   職種   助教
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2022/08
形態種別 学術論文
査読 査読あり
標題 日本の看護大学における発達障害教育実施の現状と課題-看護大学のシラバス検討から-
執筆形態 単著
掲載誌名 日本精神科看護学術集会誌
掲載区分国内
出版社・発行元 一般社団法人 日本精神科看護協会
巻・号・頁 64(2),7-11頁
総ページ数 5
担当区分 筆頭著者,最終著者,責任著者
概要 発達障がい児者は年々増加傾向にあり,また,学校教育や地域社会生活上での対応も増加しているこ
とから,病院での対応のみならず,産業分野や学校保健などさまざまな領域で支援を求められる状況が
増加すると考えられる。そのため,さまざまな領域で対応の窓口となる看護師や保健師,養護教諭が学
生時代から発達障害に関する疾患の知識・対応の知識を得ていく必要性がある。しかしながら,今後の
看護支援を担う人材を育成する教育機関では発達障害は,取り扱われ方に幅のある疾患となってしまっ
ている。本研究では,今後精神科看護臨床に従事していく看護大学生に対する発達障害教育実施におけ
る現状の課題と効果的な教育方法を検討し,今後の教育教材開発などの一助とすることを目的とした。
研究対象は,日本看護系大学協議会の2020年度会員校286校の大学とした。各大学のシラバスから「発
達障害に関連する用語」が講義タイトルに含まれている科目を収集した。収集した科目を国立大学,公立
大学,私立大学ごとに,「科目名」「講義タイトル」「科目設定分野」に分けて看護大学における発達障害
教育の現状と課題を考察した。
本研究は,インターネット上に一般に公開されている情報を対象に実施しており,個人情報は取り扱っ
ていないが,大学が特定されないように匿名化したうえで処理した。また,シラバスの内容を熟読して
正確な引用に努めた。なお,本論文について発表者らに開示すべき利益相反関係にある企業などはない。
対象校のうち,インターネット上でシラバスが閲覧できた267校を検討した結果,発達障害教育実施
の現状としては検討した大学の86.9%でなんらかの科目で取り扱われており,必要性は広く認知されて
きていることが明らかになった。その一方で,発達障害そのものの認識や発達障害教育実施の重要性に
対する認識について大きく差異があり,そのことで,「取り扱う領域や時間が統一されていない」「他疾患
とまとめて取り扱われている」「精神看護学では対象が個人のみにとどまっている」などの課題が発生し
ていることが明らかになった。
看護学生に対する発達障害教育としては,特定の1科目で取り扱うのではなく複数領域で連続的かつ
広域的に教育を行うことや,動画教材やシミュレーション教育などを並行して行うことで,看護学生に
対して発達障がい児者の理解を促進し,さまざまな発達課題や場所で発生する発達障がい児者の課題に
対する支援について検討できる教育が実施できる可能性が示唆された。