タナカ コウヘイ
Tanaka Kohei
田仲 浩平 所属 医療保健学部 臨床工学科 職種 教授 |
|
言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2011/04 |
形態種別 | 著書 |
標題 | 臨床工学技士に薦める今月の一冊 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | クリニカルエンジニアリング(2011) |
出版社・発行元 | クリニカルエンジニアリング |
巻・号・頁 | Vol.22(No.4),373頁 |
著者・共著者 | 田仲浩平 |
概要 | 本書は、各裁判例ごとに、その分野の研究者や実務家による評釈により、法律学を学ぶ大学生から、実務家、さらには法学部や法科大学院の教材として用いられる専門書である。日頃から、医療安全に尽くす現役の臨床工学技士にとって、医療過誤判例の概要、判旨、評釈を通して、「医療水準とは何か」を学び、また過去の判例が突き付けた厳しい現実を知ることができる。医療過誤における医療訴訟は、医療行為の適否や、患者に生じた死亡・後遺障害などと、医療行為との因果関係、結果に伴い発生した損害などを争点とする。過失の有無は、訴訟の時点ではなく、医療行為が行われた時点にさかのぼり医療水準が判断されることになる。その水準の判断は、「臨床における医療水準」が基準となり「学問としての医学水準」ではない。例えば、過去の診療で行われた最新治療方法が、現在の高度医療技術からすれば不適切な水準レベルであったとしても、当時の「臨床における医療水準」から適切であれば過失でない。また、医療機関自体へ求められる水準としては、「医療機関の性格、その所在地域の医療環境の特性等の事情を考慮すべき」とされており、高度先端医療機関などの大学病院とクリニックなどで求められる医療水準とは異なる。さらに、各医療施設で行われているような医療の現場独特の「医療慣行」は、「医療水準」でないとされ、医療慣行に沿った医療行為であっても、医療水準を満たした医療行為ではないと判断される場面もでてくる。このようなことから、リスクの高い患者の診療の忌避を意味する防衛医療や訴訟リスクなどを恐れてあえて行わない萎縮医療と言われているものや、また、患者に良い医療行為でも、医療関係者自らのリスクを避けることを優先する保身医療など消極的な医療論理が、先進医療の進歩を阻む恐れが出てくる。 |